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Illustrator-88

sainousanpura.jpg 【サイノウサンプラー】

超絶久方ぶりのうpでございます。
サイノウサンプラーという曲がツボったので制作してたのですが、相当長くかかってしまいました。
歌詞と解釈と色々考察されているみたいですが私はストレートにとって表現してみたかんじです。
ストレートに歌詞を受け止めた場合猟奇チックになるのですけど
そこをPOPに綺麗にとがんばってみました。
個人的には歌詞うんぬんよりも、あの切なげで儚い歌詞とメロディが気に入ったんですけどね?


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不思議な住人のお買い物 【第1章 猫を拾いました】

 青い空を、白い羊雲が流れている。
 駅前通りの商店街を歩きながら、銀歌は目の上に手を翳した。日差しは強くな
いが、なんとなくそんな仕草をしてしまう。
「本当にどこ行っちゃったんだか」
 見た目中学生くらいの小柄な少女である。きれいな焦げ茶の髪の毛と、気の強
そうな顔立ち。白いパーカーに、赤いスカートという恰好である。
「猫でも見つけて追い掛けて行っちゃったんじゃないか? あいつの事だし。そ
のうち戻ってくるとは思うけどな」
 そう呟いたのは、友人の美咲だった。
 身長百七十を越える、凛々しい顔立ちの女である。日焼けした肌、背中の中程
まで伸ばした黒髪。子供の頃から陸上競技を続けているので、身体は引き締まっ
ている。青いシャツの上に白の長袖ベストを着込み、茶色いズボンを穿いていた

「莉央がふらっといなくなるのは時々あることだし」
 そう付け足す。
「まったく手間かけさせやがって……」
 銀歌は頭を押さえて、吐息した。銀歌と美咲と莉央で、商店街に遊びに来たの
だが、ふらりと莉央の姿が消えてしまったのである。
 タイル敷きの歩行者用道路を歩く何人もの人間。性別も年齢も服装も様々だ。
道路の左右には、色々な商店が並んでいる。チェーン店の小さな店舗から、病院
や個人商店まで様々だった。ほどよい混沌だろうか。
「ん?」
 ふと銀歌は視線を動かす。
「おーい、美咲ー。ふぅちゃん」
 目に入ったのは、美咲よりもやや小柄な黒髪の少女だった。凛々しいと表現で
きる美咲とは逆に、ゆるい顔付きで眼鏡を掛けている。緑のキャミソールに、ピ
ンクの半袖ベスト、淡い灰色のスカートを穿いていた。
 右手を振りながら、ぱたぱたと走ってくる。
 美咲が肩の力を抜くのが分かった。
「噂をすれば何とやら」
「……何か連れてるぞ」
 銀歌は目蓋を下ろして、莉央が抱えるモノを眺めた。
「ごめーん、可愛い猫見つけちゃって」
 莉央が視線で猫を示す。
 白と黒の毛並みと短い尻尾。いわゆるジャパニーズボブテイル。首輪には『ネ
ネ/井吹古書店』と記されたタグが付けてあった。放し飼いの猫らしい。
「確かに猫だけど、コレは何だ?」
 銀歌は莉央が抱えている少女を指差した。
 猫を抱えたまま、莉央の左腕に抱えられている女の子。年齢は十歳くらい。顔
立ちからして日本人ではなかった。長いプラチナブロンドの髪とグレイブルーの
瞳、静かに閉じられた口元。青い半袖のデニムジャケットに、黒いホットパンツ
、白いオーバーニーソックスに茶色の靴という恰好だった。
「人を示して、コレとは失礼な子ね」
 猫を抱えたまま、少女が銀歌に目を向ける。
「拾ったの。可愛いでしょ?」
 少女の頭を撫でながら、莉央が嬉しそうに笑っていた。プラチナブロンドの髪
の毛が絹糸のように光っている。少女は表情を変えることもなく、莉央の手に身
を任せていた。
 少女の抱えている猫が、ニャァと鳴く。
「うむ。なるほど」
 腕組みをしながら、美咲が大仰に頷いた。
「さっぱり分からん回答に、あっさり納得するな!」
 一度息を止めてから、銀歌は声を上げた。
 美咲と莉央、そして少女に猫まで、揃って銀歌に目を向けてくる。それを順番
に見返してから、銀歌は莉央に抱えられた少女に改めて問いかけた。
「何者だ、お前……?」
 淡く警戒を含んだ声。
「猫を見つけて愛でていたら、その猫とセットで不審な輩に拉致された不幸な美
少女?」
 少し首を傾げ、そう答えてくる。正しいが正しくない、間違っているが間違っ
ていない回答。本人もいまいち現状を理解していないようだった。ようするに、
猫ごと莉央に連れてこられたのだろう。
(とりあえず――敵意は無いらしいな)
 銀歌は背筋を伸ばし、自分に手を向けた。
「あたしは楠木風歌だ。こっちの大きいのが高原美咲」
「よろしく」
 手を振られ、美咲が微笑む。
「今お前を抱えているのが、中野莉央だ」
「よろしくね~」
 抱えた少女に微笑みかける莉央。
 少女は、銀歌、美咲、莉央を順番に眺めてから、静かに口を動かした。
「私はヴァルカリッチ=ヴェイアス=ヴィー=ヴォルガランス。ちゃんと名乗るとは
礼儀正しい誘拐グループね、最近はそーなのかしら?」
「だれが誘拐グループだ……」
 手を振って、ツッコむ。
 しかし、道で猫と遊んでいた年端もいかない子供を、そのまま抱えて連れ去る
のは紛れもなく誘拐行為である。莉央にその自覚は無いようだが、後で注意して
おく必要があると銀歌は心のメモ帳に書き留めた。
 美咲が顎に手を添えて、小難しそうな顔をする。
「それにしても、こんな所で西洋人を見るとは珍しい。しかも日本語ペラペラと
は、さらに珍しい。えっと、何だっけ? ヴァルカン、バイス、ヴィー、オルガ
ン?」
「ヴィーでいいわ」
 あっさりとそう答えるヴィー。
「ね? 面白い子でしょ?」
 ヴィーの頭を撫でながら、莉央が得意げに微笑む。
「うむ」
 応じるように頷く美咲。どこがどう面白いのか凡人には分からないが、この二
人には何か感じるものがあるだろう。
 銀歌は一歩前に出た。会話に割り込むように。
「それはそれとして。いい加減下ろしてやったらどうだ?」
「そだね。いい抱え心地だったから、つい」
 莉央がヴィーを地面に下ろす。
 両足で立ったヴィーは、小さかった。外見年齢通りの身長である。しかし、見
た目とは違う不思議な存在感があった。白い髪の毛が、風に吹かれて揺れている

「にゃぁ」
 ヴィーの足元に猫が首筋を擦り付けている。懐かれているらしい。
 銀歌はヴィーを眺めていると、ヴィーがすっと目を向けてきた。
「ところであなた、何か言いたそうな顔しているけど」
「ああ、ちょっと……」
 銀歌はヴィーの右腕を掴み、歩き出した。
 美咲や莉央のいる場所から離れ、ついでに人気の無い場所まで歩いていく。と
いっても、人気の多い商店街だ。銀歌が選んだのは看板の影である。人通りも見
えるし、不思議そうにしている美咲と莉央も充分に見えていた。
「改めて訊くが――何者だ、お前。人間じゃないだろ?」
 ヴィーを見る。プラチナブロンドの髪の毛、ブルーグレイの瞳、白っぽい肌。
ぱっと見た限りでは、西洋人の娘。だが、人間の匂いがしない。それどころか、
不思議と生きているモノの気配がしない。
 眉毛を動かし、ヴィーが口元を小さく笑みの形に変えた。
「意外と勘のいい子ね、あなた。見た目はただの美少女だけど、私はいわゆるア
ンデッドよ。話すと長くなるから省くけど、こう見えて三世紀以上生きてるわ」
「自分で美少女とか言うなって……」
 一応ツッコミをいれておく。
「とはいえ、三世紀も生きるアンデッドか」
 銀歌は首を捻った。アンデッド。不死者。術などで死体を動かし生き続ける者
だ。しかし、素体が死体であるため、基本的に実寿命は短い。それが数世紀生き
ているとなると、もはやそれはアンデッドの定義から外れてしまうだろう。
 銀歌が思考を回転させていると、ヴィーが口を開いた。
「それより、あなたこそ人間ではないでしょう? ライカンスロープ? 匂いか
らしてワーフォックスってところかしら。いや、むしろワーフェネギーとかだっ
たらぴったりね」
 目に好奇心の光を灯しながら、見つめてくる。
 思わず気圧されつつも、銀歌は答えた。
「普通に半妖狐だよ」
「あら、残念」
 横を向いて小さくため息をつく。
 その反応に肩を落としつつも、銀歌は続けた。
「あと、あたしの名前は銀歌。あいつらの前じゃ人間として振る舞ってるから、
風歌って名乗ってる。一応そのこと覚えておいてくれ」
「大変そうね」
「そうでもないけどな」
 苦笑いをしながら、銀歌は頭をかいた。
 会話が途切れ、人の足音が空間を埋める。風向きが変わったのか、香ばしい鯛
焼きの匂いが流れてきた。遠くから、電車が高架橋を通る音が聞こえてくる。
 手を下ろしてから、改めてヴィーを見やった。
「一応確認したかっただけだ」
「そう」
 無愛想に頷くヴィー。興味が無いのか、追求はしてこなかった。
 目を移すと、美咲と莉央が不思議そうに銀歌たちを見つめている。
「何ひそひそ話を……」
「あー、こっちの事」
 空笑いをしながら、銀歌はヴィーと一緒に二人の元へと足を進めた。この二人
にとっては銀歌もヴィーも人間だ。余計な事を知って、状況を複雑にする気は無
かった。
「にゃー」
 座って待っていた猫が、ヴィーの足元にすり寄っている。
 眼鏡を動かし、莉央がふと思いついたように尋ねる。
「ヴィーちゃんってこんな所で何してるの? わたしが見つけた時も一人だった
けど」
「買い物よ。従者と一緒に来たんだけど、いつの間にかにはぐれてしまったわ。
探しているのだけど、見つからなくて」
 と、小さくため息をつく。
 美咲が戦いたように唇を舐める。
「従者とは、これまた大層な……。いわゆる良家のお嬢様というヤツか。風歌と
通じるものがあるな。一般庶民の私らには未知の世界だ」
 と首を左右に動かしてみせた。
 家に家族以外の者いがいるような家はそう多くない。ごく一部の裕福な家庭。
もしくは特別な血筋の家系。そういう意味では銀歌のいる家も特殊だが、あくま
でも銀歌は居候なので、その枠の外にいる。
 莉央が両腕を広げて、ヴィーに笑いかけた。
「その従者の人、わたしたちも探してあげようか」
 ヴィーは莉央を見つめてから、
「そうね。お言葉に甘えさせてもらうわ」

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